兼業大家の夜間・勤務中の入居者対応|自主管理で回すコツ

(更新 ) ・ 書き手: 住まい番 運営者

自主管理で賃貸物件を持つと、いつ来るか分からない入居者からの連絡が負担になりがちです。夜中の「水が止まりません」や、休日の「鍵をなくしました」がその例です。本業の勤務中にかかってきた電話に出られず、あとで折り返して肝を冷やした経験がある方もいるのではないでしょうか。

兼業大家が困りがちな「出られない時間の連絡」

国土交通省が2019年に家主を対象にしたインターネット調査では、サブリース以外の賃貸住宅を持つ259人のうち44.0%が、入居後の管理を自分で行っていました。内訳は、すべて自分で管理している人が18.5%、募集と契約だけを業者に任せている人が25.5%です。自主管理では、夜間や休日の入居者対応も大家さんの仕事です。

兼業の大家さんが連絡に出られないのは、おもに夜寝ている間や本業の勤務中、休日の外出中です。電話がつながらないと、入居者は不安になり、何度もかけ直したり、自分で業者を呼んだりすることもあります。

法律の面から見ても、連絡がつかない時間を軽く見るわけにはいきません。民法では、部屋や設備の修繕は、入居者の責任で壊れた場合を除いて、原則として大家さんの義務です(606条。契約で小さな修繕の負担を別に決めていることもあります)。入居者から知らせを受けた大家さんが相当の期間内に修繕しないときや、急迫の事情があるときは、入居者が自分で修繕できます(607条の2)。その費用が大家さんの負担すべきものなら、入居者はすぐに大家さんへ請求できます(608条)。連絡がつかない時間が長いと、どの業者にいくらで直してもらうかを、入居者が決めることになりかねません。

とはいえ、すべての連絡にすぐ出るのは無理があります。急ぐ連絡だけを早めに受け、ほかはまとめて確かめるようにしておけば、本業があっても回せます。

連絡を3つに分けると楽になる(今すぐ/数日内/答えが決まっている質問)

届いた連絡を急ぎ具合で3つに分けておくと、どれから動くかで迷わなくなります。

急ぎ具合連絡の例受け方
今すぐ水が止まらない、下の階へ漏れそう、トイレがあふれそう、部屋に入れない、鍵が閉まらない、停電、ガスのにおい、火や煙、雨漏り大家さんにすぐ届くようにし、応急処置を案内する
数日内エアコンや給湯器の不調、小さな設備の故障、騒音の相談、家賃や退去の相談受け付けたことと返事の時期を伝え、翌朝など決まった時間にまとめて確かめる
答えが決まっている質問ゴミの日、駐輪場、更新の手続き答えを先に用意し、入居のときの案内やよくある質問の一覧にして渡しておく

「今すぐ」に入れる目安は、放っておくと被害が広がるもの、生活ができなくなるもの、安全に関わるものです。エアコンや給湯器の不調は、表では「数日内」に入れましたが、真夏のエアコンや真冬の給湯器は体調に関わるので、「今すぐ」として扱います。高齢の方や小さな子どもがいる部屋の設備の不調も、早めに動く側に入れておくと安心です。

「今すぐ」に入れるか迷ったときは、日本賃貸住宅管理協会の賃料減額ガイドライン(2024年10月4日改定)が参考になります。設備が使えないときに家賃をどれだけ減らすかの目安です。トイレは1日、電気と水は2日を超えて使えないと、超えた日数が減額の対象になります。このガイドラインに法的な拘束力はありません。ただ、2020年4月の民法改正で、入居者の責任ではない理由で部屋の一部が使えなくなったときは、入居者が求めなくても、使えない割合に応じて家賃が減ることになりました(611条。国土交通省の説明資料)。水やトイレ、電気の不具合は、減額の対象になるまでが1〜2日と短く、修理の手配にも日がかかるので、「今すぐ」に入れておきましょう。

入居者への「最初の一言」を決めておく

大家さんが出られなくても、入居者が最初にやることと返事の見通しが分かれば、被害も不安も小さくなります。よくある連絡ごとの例文を挙げます(水・ガス・電気は、公式の案内をもとにしています)。

  • 水が止まらない: 「トイレなら、止水栓を右(時計回り)に回して閉めてください。トイレ以外から漏れているときや、止水栓を閉めても止まらないときは、玄関横などのメーターボックスの中にあるバルブ(元栓)を、同じように右に回して閉めてください。下の階に漏れそうなときはお知らせください」(東京都水道局「水が止まらない」「漏水は早期発見・早期修繕を!」)。止水栓にはマイナスドライバーで回すものもあるので、その回し方と元栓の場所を、入居のときの案内に書いておきます。
  • ガスのにおい: 「火を使わず、換気扇や照明のスイッチにも触れないでください。窓を開け、ガス栓とメーターのガス栓を閉めてから、ガス漏れの連絡先に電話し、外に出てください」(大阪ガスネットワーク)。連絡先は、都市ガスならガス会社、プロパンガス(LPガス)なら販売店です(LPガス安全委員会)。その番号も、入居のときの案内に載せておきましょう。
  • 停電: 「ご近所の明かりも消えているかを見てください。ご近所も消えていれば、電力会社の停電情報を確かめてください。消えているのがお部屋だけなら、分電盤のブレーカーを確かめてください。ブレーカーから焦げたにおいや変な音がするときは、触らずにお知らせください」(東京電力パワーグリッド「急に電気が消えたとき」)。
  • 火や煙、急病: 「まず119番に電話してください。火が大きいときは、すぐに外へ逃げてください。大家への連絡はそのあとで構いません」。
  • 鍵をなくした: 「鍵の業者を呼ぶと費用がかかるので、先に大家に連絡してください。30分たってもつながらないときは、緊急連絡先にお電話ください」。業者を呼んだときに費用を誰が負担するかは、入居のときの案内に先に書いておきます。
  • 急ぎでない連絡: 「受け付けました。明日の朝までにお返事します」のように、返事の見通しを必ず添えます。

連絡先の順番も決めて、入居者に渡しておきます。火や煙、急病、身の危険など命に関わるときは、まず119番か110番へ電話してもらいます。それ以外は、大家さんの携帯電話、つながらないときは緊急連絡先(ご家族や頼んでいる業者など)の順です。大家さんの番号と「30分たっても折り返しがなければ次へ」という目安は入居のときの案内に書き、物件の掲示には119番・110番やガスの連絡先だけを載せておくと、夜間でも入居者が迷いません。

連絡カードの例(デモハイツ)

火事・急病など命に関わるときは119番、水漏れ・鍵・停電などは大家、30分たっても大家につながらないときは緊急連絡先、ガスのにおいがするときはガス会社、の順に書いたデモハイツの連絡カード
印刷して渡す連絡カードの例(架空のデモハイツ)

物件名と連絡先を入れた連絡カードは、「入居のしおりのテンプレート」で、しおりと一緒に印刷できます。

記録を残す

連絡を受けたら、1件ごとに記録を残します。スマホのメモでも、表計算ソフトの1行に1件でも構いません。残す項目は次のとおりです。

  • 連絡ごとの番号(例: 2026-001)
  • 連絡を受けた日時と部屋番号
  • 連絡の内容と、届いた写真
  • 入居者に伝えたこと
  • 対応した日と、その内容
  • 終わった日

記録は、入居者と話し合うときの助けになります。いつ連絡を受け、いつ動いたかを示せるので、607条の2でいう「相当の期間」のうちに対応したかを説明できます。設備が何日使えなかったかも分かり、家賃の減額(611条)や退去時の精算の材料にもなります。同じ設備が何度も壊れていると分かれば、交換を考えるきっかけにもなるでしょう。

まずは紙とスマホのメモで始めて、手が回らないところが見えてから道具を選んでも遅くはありません。

道具で自動化する方法(住まい番の例)

自分でLINE公式アカウントを作って受け付ける方法は、「大家のLINE公式アカウント活用」にまとめています。

書き手が運営している住まい番では、水漏れや鍵、停電、ガス、火事などのときは、AIが応急処置を案内し、大家さんのLINEには至急の通知が届きます。真夏のエアコンの不調のように、事情によって急ぎになる連絡は、入居者が「急ぎです」と送れば、大家さんにすぐ通知が届きます(受付の文で、入居者にもこの送り方を案内しています)。

デモハイツ203号室の佐藤さんから水漏れの連絡があったことを知らせる至急の通知で、[返信する]と[業者に連絡]のボタンが並んだLINEの画面
大家さんのLINEに届く至急の通知(架空のデモハイツ)

急ぎの連絡はすぐ、急ぎでない連絡は翌朝まとめて届きます

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参考にした資料

リンク先は2026年9月25日と26日に確かめました。

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住まい番 運営者
入居者のLINEの連絡にAIが一次対応するサービス「住まい番」を、個人で運営しています。自主管理の大家さんが、夜中や仕事中の連絡に一人で追われずに済むように作りました。

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