賃貸人変更通知書の例文|相続・自主管理への切り替えのとき

・ 書き手: 住まい番 運営者

親からアパートを相続したときや、サブリースの契約が終わったとき、管理会社をやめて自分で管理を始めるときは、入居者に「これから誰に家賃を払い、どこへ連絡すればよいか」を知らせる必要があります。賃貸人(貸主)が替わるときに出す書面が、賃貸人変更通知書です。

賃貸人変更通知書が要るとき・要らないとき

出す書面は、賃貸人が替わるかどうかで決まります。

場面賃貸人出す書面差出人
相続亡くなった方から相続人に替わる賃貸人変更通知書相続人(遺産分割の前は連名か代表者)
売買売った人から買った人に替わる賃貸人変更通知書売った人と買った人の連名
サブリースの終了サブリース会社から大家さんに替わる賃貸人変更通知書大家さんとサブリース会社の連名
管理会社から自主管理へ替わらない(大家さんのまま)管理会社変更のお知らせ大家さんと管理会社の連名

賃貸人が替わっても、入居者との賃貸借契約はそのまま続きます。相続では、亡くなった方の権利と義務を相続人が引き継ぎます。売買では、賃貸人の立場が買った人に移ります。敷金を返す義務も新しい賃貸人が引き継ぎ、入居者の承諾は要りません(民法896条・605条の2・605条の3)。

サブリースでは、入居者から見た賃貸人はサブリース会社です。国土交通省の「特定賃貸借標準契約書」では、サブリースの契約が終わると、大家さんがサブリース会社の立場を引き継ぎます(21条1項)。入居者との契約は、原則としてそのまま続きます。実際の契約書がこのとおりとは限らないので、手元の契約書で、契約が終わったときの決まりを確かめておきます。

管理会社をやめて自主管理にするときは、賃貸人は大家さんのままです。管理会社の管理が終わることを、新しい振込先や連絡先とあわせて、「管理会社変更のお知らせ」で知らせます。

賃貸人変更の通知は義務?

民法では、入居者に知らせなくても、賃貸人の立場は新しい賃貸人に移ります(相続は896条、売買は605条の2・605条の3)。ただ、知らせる前に入居者が前の賃貸人へ払った家賃は、有効な支払いになることがあります(478条)。そうなると、その分の家賃を入居者にもう一度求めることはできません。行き違いを防ぐため、通知は早めに出しておきます。

なお、売買では、所有権の移転の登記を済ませるまで、新しい賃貸人であることを入居者に主張できません(605条の2第3項)。

管理会社との契約が国土交通省の「賃貸住宅標準管理受託契約書」と同じ内容なら、契約が終わったときは、大家さんと管理会社の両方から、管理が終わったことを遅れずに入居者に知らせることになっています(23条2項)。

書く前に決めておくこと

通知書を書く前に、次のことを決めておきます。

  • 何月分の家賃から切り替えるか
  • 新しい振込先(口座の名義は新しい賃貸人)
  • 敷金の額と、新しい賃貸人が引き継ぐこと
  • 家賃や契約期間など、契約の内容は変わらないこと
  • 新しい連絡先と、夜間・休日の至急の連絡の順番
  • 口座振替や家賃保証会社を通して払っている部屋の扱い(別の手続きが要ることがあるので、保証会社や口座振替を頼んでいる会社に早めに問い合わせます)

夜間の連絡先の順番をどう決めるかは、「兼業大家の夜間・勤務中の入居者対応」で説明しています。

相続のとき

銀行に相続を伝えると、亡くなった方の口座は、入出金などの取引が原則として制限されます(全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」)。家賃の振込先がその口座なら、新しい振込先を早めに知らせます。

遺産分割が終わるまでの家賃は、相続分に応じて、相続人それぞれのものになります。あとで遺産分割をして物件を継ぐ人が決まっても、この分け方はさかのぼって変わりません(最高裁判所 平成17年9月8日判決)。家賃を受け取る口座と入居者の窓口になる人を、相続人どうしで決めて書面に残しておくと安心です。

相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内に申請します。2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、まだ登記していないものは、2027年3月31日までに申請します(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。手続きに迷うときは、司法書士や弁護士に相談してください。

管理会社・サブリースをやめるとき

国の標準契約書では、契約が終わったときに大家さんが受け取るものを、次のように決めています。

  • 管理会社から: 物件の書類、預かっているお金(まだ大家さんに渡していない家賃など)、家賃の滞納についての報告(賃貸住宅標準管理受託契約書 22条)
  • サブリース会社から: 入居者から預かっている敷金、入居者との賃貸借契約書、そのほか必要な書類(特定賃貸借標準契約書 21条3項)

実際の契約書の条文も確かめておきます。預けている合鍵があれば返してもらい、入居者の連絡先の一覧も受け取っておきます。

管理会社へ出す解約の通知書の例文は、「管理委託契約の解約通知書の例文」にあります。

賃貸人変更通知書・管理会社変更のお知らせの例文(3つの場面)

場面ごとのひな形を3つ載せます。題は「賃貸人変更通知書」でも構いませんが、入居者には「お知らせ」のほうがやわらかく伝わります。例の物件は架空の「デモハイツ」です。○○やXXの所を書き換えて使ってください。

1. 相続で賃貸人が替わったとき

令和○年○月○日
デモハイツ 入居者各位

賃貸人変更のお知らせ

いつもデモハイツにお住まいいただき、ありがとうございます。

賃貸人(大家)の○○○○が、令和○年○月○日に亡くなりました。賃貸人の立場は、相続人の○○○○が引き継ぎました。

賃貸借契約の内容(家賃・契約期間など)は変わりません。お預かりしている敷金も、新しい賃貸人が引き継いでいます。

令和○年○月分の家賃から、次の口座へお振り込みください。
○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○ 名義 ○○○○
口座振替でお支払いの方には、手続きを別にご案内します。

お部屋についてのご連絡は、夜間・休日の至急のものも含めて、次の電話番号へお願いします。
電話 090-XXXX-XXXX(○○○○)
つながらないときは 090-XXXX-XXXX(○○)へお電話ください。
火事や急病、身の危険があるときは、先に119番か110番へお電話ください。

今後ともよろしくお願いします。

賃貸人 ○○○○(住所 ○○県○○市○○)

遺産分割の前で、継ぐ人が決まっていないときは、「相続人○○○○ほか○名が賃貸人の立場を引き継ぎ、○○○○が窓口になります」のように書きます。

デモハイツの入居者あての賃貸人変更のお知らせの見本。新しい賃貸人、家賃の振込先と切り替える月、敷金を引き継ぐこと、夜間の連絡先が書いてある
例文1を印刷した見本(架空のデモハイツ。名前・口座・電話は伏せ字)

2. サブリースが終わって大家さんが賃貸人になるとき

令和○年○月○日
デモハイツ 入居者各位

賃貸人変更のお知らせ

いつもデモハイツにお住まいいただき、ありがとうございます。

デモハイツは、これまで株式会社○○が建物を借り上げ、皆さまにお貸ししていました。令和○年○月○日から、賃貸人は建物の所有者の○○○○に替わります。

皆さまとの賃貸借契約は、内容を変えずにそのまま続きます。お預かりしている敷金も、○○○○が株式会社○○から引き継ぎます。

令和○年○月分の家賃から、次の口座へお振り込みください。
○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○ 名義 ○○○○

お部屋についてのご連絡は、令和○年○月○日から○○○○がお受けします。夜間・休日の至急のものも含めて、次の電話番号へお願いします。
電話 090-XXXX-XXXX(○○○○)
つながらないときは 090-XXXX-XXXX(○○)へお電話ください。
火事や急病、身の危険があるときは、先に119番か110番へお電話ください。

このお知らせの内容は、株式会社○○(電話 0X-XXXX-XXXX)でもご確認いただけます。

今後ともよろしくお願いします。

新しい賃貸人 ○○○○
これまでの賃貸人 株式会社○○

3. 管理会社から自主管理に切り替えるとき(管理会社変更のお知らせ)

賃貸人は替わらないので、題は「管理会社変更のお知らせ」にします。振込先も変わるときは、家賃振込先変更のお知らせも兼ねます。

令和○年○月○日
デモハイツ 入居者各位

管理会社変更と家賃振込先変更のお知らせ

いつもデモハイツにお住まいいただき、ありがとうございます。

デモハイツの管理は、これまで株式会社○○にお願いしていました。令和○年○月○日で株式会社○○の管理は終わり、翌日からは賃貸人の○○○○が直接管理します。

賃貸人は替わりません。賃貸借契約の内容も、お預かりしている敷金もそのままです。

令和○年○月分の家賃から、次の口座へお振り込みください。
○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○ 名義 ○○○○

設備の不具合などのご連絡は、令和○年○月○日から、夜間・休日の至急のものも含めて、次の電話番号へお願いします。
電話 090-XXXX-XXXX(○○○○)
つながらないときは 090-XXXX-XXXX(○○)へお電話ください。
火事や急病、身の危険があるときは、先に119番か110番へお電話ください。

このお知らせの内容や、令和○年○月○日までの家賃や手続きについては、株式会社○○(電話 0X-XXXX-XXXX)へお問い合わせください。

今後ともよろしくお願いします。

賃貸人 ○○○○
これまでの管理会社 株式会社○○

送り方と、入居者を迷わせない工夫

振込先が変わるという知らせを受け取ると、入居者は本物かどうかが気になるものです。前の賃貸人や管理会社の名前と、入居者が確かめられる電話番号を書き、できれば連名にします。

通知書は、郵便受けに入れるか、手渡しで配ります。記録を残したいときは、郵便で送ります。送ったことを残すなら日本郵便の特定記録(引き受けを記録)、届いたことまで残すなら簡易書留(引き受けと配達を記録)を使います。

切り替えた月は、全員の入金を通帳で確かめます。前の口座に入った家賃があれば、サブリース会社や管理会社と精算します。相続では、亡くなった方の口座に入った分を、銀行での相続の手続きの中で扱います。

新しい連絡窓口をLINEにする(住まい番の例)

書き手が運営している住まい番では、入居者に招待のリンクを送ります。入居者は、表示された文に部屋番号と名前を足して送るだけで登録できます(入居者の招待のしかた)。入居者の電話番号やメールアドレスが分かるときは、通知書を配った後に、同じ差出人の名前を添えて、ショートメールやメールでリンクを送ります。

相続した物件を家族で分担するなら、家族を管理者に加えられます(家族や頼んだ人を追加する)。

管理者を招待する欄。名前を入れて権限を選び、「招待リンクを作る」を押すと、家族に送るリンクができる
管理画面「設定」の管理者の招待の欄

入居者からの新しい連絡窓口をLINEにできます

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参考にした資料

リンク先は2026年9月27日に確かめました。

書き手

住まい番 運営者
入居者のLINEの連絡にAIが一次対応するサービス「住まい番」を、個人で運営しています。自主管理の大家さんが、夜中や仕事中の連絡に一人で追われずに済むように作りました。

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