アパートの消防設備点検、大家がやること|お知らせ例文つき

・ 書き手: 住まい番 運営者

消防法や条例で、消火器などの消防設備を付けることになっているアパートなら、大家さんには、消防設備点検と消防署への報告の義務があります。何をどこまでするかは、建物の規模や使い方で変わります。

アパートの消防設備点検は、大家さんの義務?

消防法や条例で付けることになっている消防設備があるアパートなら、義務です。消防法17条の3の3で、建物の「関係者」は、消防設備を定期的に点検し、結果を消防署に報告することになっています。関係者は所有者・管理者・占有者のことで(2条4項)、自主管理のアパートでは大家さんが当たります。点検を業者に頼んでも、報告の義務は大家さんに残ります。

報告をしなかったり、うその報告をしたりすると、30万円以下の罰金か拘留の罰則があります(44条11号)。

共同住宅に付ける設備は、延べ面積・階数・用途で変わる

アパートは、消防法では「共同住宅」です(消防法施行令 別表第一の5項ロ)。国の基準で、主な設備を付ける条件は次のとおりです。

設備主な条件根拠
消火器延べ面積150㎡以上。または、地階・無窓階・3階以上の階で、床面積50㎡以上の階施行令10条
自動火災報知設備延べ面積500㎡以上。地階・無窓階・3階以上の階で、床面積300㎡以上の階。11階以上の階施行令21条
非常ベルなど収容人員50人以上など(自動火災報知設備があれば、その範囲には要りません)施行令24条
避難器具(避難はしごなど)2階以上の階か地階で、その階の収容人員30人以上など施行令25条
誘導灯地階・無窓階・11階以上の部分施行令26条

延べ面積は、各階の床面積の合計です。無窓階は、避難や消火に役立つ窓などが足りない階のことです。収容人員は、共同住宅では住んでいる人の数です(消防法施行規則1条の3)。共同住宅には国の特例があり、市町村の条例で基準が足されていることもあります(消防法17条2項)。はっきりしないときは、所轄の消防署に確かめてください。

小さなアパートは、点検が要らないこともある

点検が要るのは、消防法や火災予防条例に基づいて消火器などが付いている建物です(東京消防庁「消防用設備等点検報告制度」Q1)。国の基準では、延べ面積150㎡未満で、地階・無窓階・3階以上の階がないアパートは、消火器の条件に当たらないことがあります。

ただ、その条件に当たらなくても、消火器などが付いていて点検が要る場合があると、東京消防庁は書いています。また、誘導標識(避難口を示す標識)は共同住宅にも付ける決まりで、付いていれば点検が要ります。部屋から避難口が見通せて、そこまで歩いて30m以下の階などには、誘導標識は要りません(施行令26条1項4号、施行規則28条の2第3項)。「うちは要らない」と決める前に、所轄の消防署に確かめてください。

1階に店が入る建物は、報告が1年に1回になることがある

共同住宅だけの建物は、消防署への報告が3年に1回です。1階などに飲食店や物販店が入ると、建物全体が「特定防火対象物」(別表第一の16項イ)になり、報告が1年に1回になることがあります(施行規則31条の6第3項、東京消防庁)。どちらに当たるかは、所轄の消防署に確かめてください。

住宅用火災警報器との違い

お部屋に付ける住宅用火災警報器は、消防法9条の2と市町村の条例で決まっているもので、消防設備点検は要りません(東京消防庁 Q19)。付ける義務は、大家さんを含む住宅の関係者にあります。罰則はありません。消防庁は、10年を目安に交換するよう呼びかけています(Q&Aと案内)。

点検の頻度と、消防署への報告の周期(一覧表)

点検には2種類あります。機器点検は、設備の置き場所や傷みを外から見て、簡単な操作で働きを確かめます。総合点検は、設備を実際に動かして、全体の働きを確かめます(消防庁告示第9号)。

種類頻度対象根拠
機器点検6か月ごと付いている消防設備(消火器・誘導灯・誘導標識は、この点検だけ)告示第9号
総合点検1年ごと自動火災報知設備・非常ベル・避難器具など告示第9号
報告(共同住宅だけの建物)3年に1回点検の結果(所轄の消防署に出します)施行規則31条の6
報告(店などが入り、16項イに当たる建物)1年に1回点検の結果(所轄の消防署に出します)施行規則31条の6

報告が3年に1回の建物でも、機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごとに行います。消防庁のリーフレットでは、機器点検を年1回、総合点検を3年に1回しかしていなかった場合を、不適切な例に挙げています。報告しない年も、点検の結果は維持台帳(点検の記録や報告書の控えをとじておく帳面)に記録します(施行規則31条の6第3項)。

大家さんが自分で点検できる範囲

次の建物は、消防設備士か消防設備点検資格者に点検してもらう決まりです(施行令36条2項)。

  • 延べ面積1,000㎡以上(共同住宅だけの建物は、消防署長などが指定したもの)
  • 地下か3階以上に店などがあり、そこから地上へ通じる階段が屋内の1つだけの建物
  • 二酸化炭素を使う消火設備(全域放出方式)がある建物

どれにも当たらなければ、大家さんが自分で点検できます。消防庁の「消防用設備等点検アプリ」なら、資格がなくても消火器などを点検し、報告書を作れます。ただし、製造年から加圧式は3年、蓄圧式は5年を過ぎた消火器は、中まで調べる点検が要るので、業者に頼むか買い替えます(消防庁の点検アプリのリーフレットとパンフレット)。東京消防庁は、資格のある人の点検を勧めています(Q4)。

報告書の出し方

東京消防庁の例では、窓口・郵送・電子申請のどれかで出せます。押印は要りません(Q9)。受付印を押した控えが欲しいときは、表紙のコピーも一緒に出します(「消防用設備等点検結果報告書」)。ほかの地域は、所轄の消防署に確かめてください。

消防点検の前と後に、大家さんがやること

1. 業者を決める(費用は見積もりで比べる)

東京消防庁の例では、消防署は業者を教えることも、費用の金額を示すこともできません。そのうえで、複数の業者から見積もりを取るよう勧めています(Q12・Q13)。見積もりのときに、次のことも聞いておきます。

  • お部屋に入る回か、共用部だけの回か
  • 1部屋あたりの時間と、非常ベルが鳴るか
  • 留守だった部屋の再点検と、報告書の提出まで頼めるか

2. 入居者に知らせて、承諾をもらう

お部屋に入る点検は、入居者の承諾をもらってから行います。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」16条1項では、防火などのために、大家さんは前もって入居者の承諾を得て、お部屋に入れるとしています。2項では、入居者は正当な理由がなければ断れないことになっています。ただ、日時を決めるときに入居者の都合も聞くと、当日の留守を減らせます。お手元の契約書も確かめてください。

お知らせの書き方の基本と、点検が終わったときの例文は、「入居者へのお知らせ文例」にあります。

3. 当日不在の部屋の段取りを決めておく

予備日は業者と先に決めて、最初のお知らせに書きます。合鍵で入るのは、「留守の間に入ってよい」と返事をもらった部屋だけにし、大家さんも立ち会います。消防設備点検は、火事の延焼を防ぐときのような急を要する立ち入り(標準契約書16条4項)とは違うので、「お留守でも入室します」とは書きません。

4. 終わったら、控えを維持台帳にとじる

維持台帳には、設備の届出の写しや検査済証、点検結果報告書の写しなどをまとめておきます(施行規則31条の6第3項)。報告した年は、受付印のある控えもとじます。不備は早めに直します。東京消防庁の例では、直す前に報告するときは「消防用設備等点検報告改修計画書」も出します(Q14)。次の点検の月と、次に報告する年も書き留めておきます。

消防点検のお知らせ例文(テンプレート3つ)

○の所を埋めて使います。紙にもLINEにも使える長さです。作業の時間などは、業者に確かめてから書きます。

例1 共用部だけの点検のお知らせ(お部屋に入らない回)

入居者各位
消防設備点検のお知らせ(共用部)

○月○日(○)○時から○時まで、廊下や階段の消火器などの消防設備を点検します。消防法で決められた点検で、今回はお部屋には入りません。
点検の間、非常ベルが鳴ることがあります。煙や火に気づいたときは、点検中でも119番へお電話ください。
点検は、○○(電話 ○○)の作業員が行います。
ご不便をおかけしますが、ご協力をお願いします。

デモハイツ 大家 ○○(電話 ○○)

非常ベルなどがない建物では、例1の非常ベルと119番の2文を消します。

例2 お部屋に入る点検のお知らせ

入居者各位
消防設備点検のお知らせ(お部屋に入ります)

○月○日(○)に、消防法で決められた消防設備の点検をします。今回は作業員がお部屋に入り、天井の火災感知器などを点検します。1部屋あたり約○分です。
点検は、○○(電話 ○○)の作業員が行います。
○号室から○号室は○時から○時、○号室から○号室は○時から○時に伺います。立ち会いをお願いします。
点検の日は、天井の感知器の下を空けておいてください。ベランダに避難はしごがあるお部屋は、はしごのふたの上と周りも空けておいてください。
当日お留守になる方は、○日までに、次のどちらかをご連絡ください。
・予備日の○月○日(○)○時から○時なら立ち会える
・留守の間に、大家の立ち会いで入ってよい
どちらも難しいときも、ご連絡ください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

デモハイツ 大家 ○○(電話 ○○)
消防設備点検のお知らせの紙の見本。お部屋に入る日時と、当日留守になる方に予備日か立ち会いでの入室かを選んでもらう欄
例2を紙にした見本(架空のデモハイツ)

例3 お留守だったお部屋への再点検のお願い(1部屋あて)

○号室 ○○様
消防設備の再点検のお願い

○月○日(○)の消防設備点検では、お部屋の感知器を点検できませんでした。消防法で決められた点検なので、あらためて伺います。
次の日時のうち、ご都合のよい方を○日までにご連絡ください。
・○月○日(○)○時から○時
・○月○日(○)○時から○時
どちらも難しいときは、ほかの日時でも構いません。お留守の間に、大家の立ち会いで入ってよい場合は、そのこともご連絡ください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。

デモハイツ 大家 ○○(電話 ○○)

例3は、LINEでも全員あてにせず、その部屋の方1人だけに送ります。

点検の期日が大家さんのLINEに届く(住まい番の例)

書き手が運営している住まい番では、設定で「点検の期日」をオンにすると、「点検」タブが出ます。「点検・更新を追加」の中の「よくある点検・更新から選んで追加」に、「消防設備点検(機器点検)」(6か月ごと)と「消防設備点検の報告」(3年ごと)があります。初回の期日を入れると、期日の前と当日の朝に、住まい番が大家さんのLINEに「点検・更新の予定」を送ります。無料プランでは、月曜の朝にまとめて届きます。点検が終わったら、「点検」タブでその予定を押して[完了]にすると、次の期日に進みます(点検・更新の期日)。

住まい番の管理画面の「点検」タブに、デモハイツの消防設備点検と報告の期日を登録した画面
住まい番の「点検」タブ(架空のデモハイツ)

消防点検の期日が近づくと、大家さんのLINEに届きます

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参考にした資料

リンク先は2026年9月27日に確かめました。

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住まい番 運営者
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